僕が思う DJ Quik

2011/02/20
アメリカのアーティストの中で、 一番最初に僕のことを憶えてくれたのが、DJ Quik。
それは Quik のビートメイクに役立つ “とあるモノ” を、 僕と onodub で作って渡し、それをもの凄く気に入ってくれたのがきっかけ。 もう10年も前の話になるけど。
僕は Quik の音ももちろん好きだし、 アルバムはもちろん全部持っている。 ライブも、チャンスがあれば必ず行く。

なぜここまで惹かれるのだろう。


僕が思う DJ Quik 。

自分の思う道で、常に新しいことに挑戦し、追求し続けている。
アルバムを聴いてても、それがとてもよくわかる。 誰かの音を聞いて、「あ、 Quik っぽいな」って思うことはあっても、 Quik の音を聞いて、誰々っぽいなと思ったことは一度もない。
さらに、ライブを見ると、 新しいことに挑戦し続けていることを肌で感じる。
今まで Quik のライブは、20回以上見てると思うけど、 同じ事をやってる時が、


一度もない。

そしてそのライブをフィーリングでやっている。

これを見た時、僕は Quik が
「我が道を行っている」
と感じているのだと思う。

たとえば、今回も
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=VpY_ElM4CYk[/youtube] Tony Toni Tone / Let’s Get Down をやったんだけど、

Quik、
歌わない。


え?
もちろんリリック忘れたとか、サボってるとかそんなのではない。
でも突然のそんな事態でも、お客さんはしっかり付いてきて、 フックの部分はお客さんのパートだとでも言うように、みんなが当然のように歌ってる。
最終的に Quik がちょこっと歌ったのは、曲終わりでRaphael Saadiqのパート、 Come on Let’s Get Down Let’s Get Down, Let’s Get Down だけ。
それでも、それが当然のように成り立つ。

なぜだろう。

歌わなかったのもフィーリングであれば、 突然、最後に歌ったのもフィーリング。


・・・・・
適当にやることや、行き当たりばったりでやることを 「フィーリングでやってる・・・」 なんて言う人もいるけど、それはただの甘え。

全く違う。


そういう事ではない、アーティスティックなフィーリング。
自分の中に秘めた確固たるモノを表現するために存在する、研ぎ澄まされた感覚。 それがアーティストそれぞれが持つアーティスト性であり、 アーティストたる所以なのだと思う。
本当に音楽が好きで、自分の追求しているモノを、 作品やライブを通して表現している。 それがそのままフィーリングとしてストレートに現れている。
Quik はそんなアーティストに見える。

Quik のライブに今回一緒に行った LA Style Dope の P さんが、 「 Quik はマイペースで、でもそこがもんの凄くカッコイイ」 って言ってたけど、まさにその通り。
さらに言えば、そのマイペース、 “何者にも揺るがせられない我が道を進む姿” が、多くの人に支持されている。

ただ我が道を行くことは誰にでもできるけど、 “行く我が道” それ自体が多くの人に支持されることは難しい。
その非常に難しい事を、ナチュラルに自然体で為しえているからこそ、 Quik はこんなにも人を魅了するのだと思う。


アメリカで Big Boy にスタジオやクラブに連れて行ってもらって何回も会ううちに、 Big Boy & E-Man のツアーで DJ Quik が日本に来て、それに帯同した時に、 Damizza のライブDJをしてる時期、 Quik のツアーの前座として同行するたびに、 その Quik のなしえている事の大きさを、常に感じてきた。


この ” DJ Quik ” という目標があること、それにいち早く気付けたことが、 僕のDJ人生の中で大きなターニングポイントの1つなのではないかと思えるくらいなのです。

僕はラップしないし、 Quik は名前に DJ と付いているけどクラブでDJしない。 (ホントはする時もあるけど) 芯に秘めたモノは違うだろうし、表現の仕方も違う。 Quik と僕は全く違う。
だけどこの人の音楽人生を生きる道には、もの凄く惹かれてならない。 そして、その芯の部分で少しでも近づいていきたいと感じるアーティストなのです。
こちらもどうぞ ライブレポ “Quik’s Groove に行ってきた!!”
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4 comments on "僕が思う DJ Quik"

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